3月19日(水)
今日は前回引っかかった健康診断の精密検査を受けに、早起きで日赤に向かった。
7時に起きて8時には病院に着く予定だったけど、少し二度寝して病院には8時半に着いた。
日赤はご存知の通りメガ病院なのでどんなに早く受付を済ませても相応の待ち時間を要求されがちである。
持ってきた本を読みながらニヤニヤしたり、早起き分の睡眠をとって時間を潰す。
やっと呼ばれ、受ける検査を指示された時点で病院に着いてから3時間は経っていた。
検査室に向かう道中、
[8時半に受付すまして三時間待たされてんのに、俺より早いババアは何時からきてんねん。]
とは、思わない。
これは真剣勝負。
敗者に与えられるのは診察までの待ち時間という屈辱なのだ。
僕はハッキリと二度寝をした。彼女たちはしなかった。
それだけである。
検査室に着くと綺麗な女性の検査技師さんが立っていて、部屋に入るや否や、パーカーを脱げと要求する。
そう、ここは検査室だ。
つまり、検査技師様の独壇場。
僕に抗う術はない。
僕はいたいけな検査技師様の要求を飲み、思うがままにされる他ないのだ。
この部屋の中で僕は検査技師様にとって、一匹の豚でしか無いのだ。
検査技師様の仰せの通りパーカーを脱ぐ。
脱ぐや否や、ベッドに仰向きなれと要求され、素早く心電図を取られる。
そのスピード、さすが検査技師様である。
そしてついに検査技師様、上裸ポヨポヨ腹のまま4分間、小さい階段を登ったり降りたりを繰り返せと要求するのだ。
もちろん黙って言うことを聞く。
検査室の中、検査技師様の前では僕も無力な一匹の豚、家畜なのだから。
検査技師様の合図から4分間、階段を登ったり降りたり。
繰り返される上下運動にポヨポヨの腹がブヒブヒと鳴き叫ぶ。
横を見ると検査技師様がその僕の姿を真剣に見つめる。
笑いが止まらなくなった。
黙々と決められたペースで階段を上り下りする僕。
ブヒブヒ泣き叫ぶ腹。
それを真剣に見つめる検査技師様。
僕は朝早くから来て3時間も待って何をしてんだと思った。
思えば思うほどに笑いが止まらなくなり、それを我慢するから、本当にブヒブヒ喘いでしまった。
4分間、僕のブヒブヒは止まる事がなかった。
もちろん、検査室の空気は最悪で、あれほどにこやかだった検査技師さんは階段上下の4分後、速やかに心電図をとるとありえない速度で、僕に一言も話さず検査室から出て行った。
1人残された僕は、ポヨポヨの大海原を見ながらやっちまったと思った。
やっちまったと思いながら、もう一度だけ。
「ブヒッ」